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魂の彫刻

大正15年10月発売当時 教育指導の本質論で大反響!
現在の教育問題への解決書!
ノーベル平和賞に推薦された賀川豊彦の愛の教育論
魂の彫刻

著者:賀川豊彦

監修:今吹柳乃助

価格: ¥ 1,890(税込)

ISBN4-


川豊彦は「妾の子」という運命を背負って生れてきた。少年時代から肺を患い、血を吐きつつの病弱生活だった。21歳の時、どうせ死ぬなら人のため役立って死のうと思い神戸の貧民層に入った。そこで出会った子供たちへの実践教育が始まり生れたのが本書である。
--「私の芸術品は街の子供とその顔である。私は貧民屈を歩いて、子供を一人も残さずに友とする。彼は天使の兄弟である。子供の顔こそ、私の傑作である。私の戯曲は貧民屈の路地である。その舞台は劇場より広く、その筋書きは劇そのものより複雑である。私は劇場で流す涙を貧民屈で流す。」--。

1909年(明治42)12月24日に貧民屈に入った賀川が始めて出会ったのはポロをまとい、空腹な子供たちの姿で、これを見た賀川は早速クリスマス祝会を始めた。第一日目である。次の詩は賀川の日常生活での子供たちとの風景である。
「私のお弟子は三人、四人。鼻垂れ小僧の蛸坊に、かん高声の勘公は、私の一と二の弟子で、便所の口までつひて来て、私の出るのを待っている……。」

当時は子供の捨て子が多く、22歳の賀川は見かねて「おしい」という乳児をもらいうけ、もらい乳をしながら背負って育てた。その時出来た詩、

「おしいが泣いて、目が醒めて、おむつを更えて、乳溶いて、椅子にもたれて、涙くる。男に飽いて、女になって、お石を拾ふて今夜で三晩、夜昼なしに働いて、一時寝ると、おしいが起こす。お石を抱いて、キッスして、顔と顔とを打合わせ、私の眼から涙汲み、おしいの眼になすくって……。『あれ、おしいも泣いてゐるよ あれ神様 おしいも泣いています!」

貧民屈に入って後、子供に恵まれなかった賀川にも13年目で長男・純基が誕生する。この喜びは尋常でなかった。賀川への神からのプレゼントに思えた。我が児への実践教育が始まった。その記録が「魂の彫刻」である。賀川の教育は生命芸術である。子供は教材、教育者は創作者で芸術者である。子供という芸術作品をつくる。ここに教育者の喜びがある。次世代は子供たちのもので、子供が地上に天国をつくる。何時の時代になっても「人類は児童に対し、最善のものを与える義務を負う!」と説く。

評論家・大宅壮一は「社会のあらゆる運動というものはすべて賀川から始まっている。近代日本を代表する人物として、自信と誇りを持って世界に推挙しうる者を一人あげようと言うことになれば、私は少しもためらうことなく、賀川豊彦の名をあげるであろう。かつて日本に出たことはないし、今後も再生不可能と思われる人物…、それは賀川豊彦先生である。農民運動、平和運動、協同組合運動、災害救助運動、社会運動…などを展開した。中でもとりわけ教育活動は賀川の生涯を賭けた愛の実践課題であった。「魂の彫刻」には教育の根本問題が載っている。

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